作品詳細

夢と人生 上巻

夢と人生 上巻

知火

ジェラール・ド・ネルヴァル33歳までの物語

 ジェラール・ド・ネルヴァルは1808年に生まれ1855年に亡くなった19世紀前半の作家である。
 ヴィクトル・ユゴーの演劇の革命と言える『エルナニ』の戦いに参加したことから分かるようにロマン派の作家として出発したが、人生の後期においては町を歩きながらルポとフィクションを織り交ぜていくようなロードムービー的な志向や、内面的な時間の記述、シュールレアリスムを先取りしたような夢、それも壮大な宇宙的なイメージを伴った夢の記述など現代に直接つながるような作品を集中的に発表して短い人生を自殺によって終わらせた。
 その転回点となったのが1841年、33歳の時に起きた狂気の発作である。
 この伝記小説上巻ではこの時点までが扱われている。
 彼の作品中大きなカギとなる女性の存在であるが、女優・歌手のジェニー・コロンとピアニストのマリー・プレイエルの二人であることははっきりしている。
 ただ現実の人生に彼女たちとどこまで関係があったのかは分からない。
                           藤田 衆


目次
一. モルトフォンテーヌ(一八一四年)
二. エリーズ
三. 夢
四. ベレジナ(一八一二年)
五. オウム
六. 老詩人の嘆き(一八七二年)
七. シャルルマーニュ中等学校(一八二四年)
八. ラブリュニー医師
九. 小さな人のいる不思議な部屋
十. ずる休み
十一. タンプル大通り
十二. 木組み回廊
十三. 雨宿り
十四. 留守に届いた手紙
十五. 初出版
十六. 手紙
十七. 帰還(一八五四年)
十八. デュブラン(一八二七年)
十九. ソフィー
二十. 影を失くした男
二十一.森
二十二.ロージュの市
二十三.狩り
二十四.『ファウスト』(一八二七 —— 一八五四年)
二十五.交霊術(一八五五年)
二十六.サゲの女将の店(一八二九年)
二十七.アシール・ドヴェリア
二十八.アトリエ
二十九.若きカリスマ
三十. 『エルナニ』(一八三〇年)
三十一.嵐の前
三十二.栄光の三日間(一八三十年七月二十七日)
三十三.同窓会(一八六八年)
三十四.アルスナル(一八三〇年)
三十五.小セナークル
三十六.伏魔殿
三十七.社会勉強
三十八.タタールの野営地
三十九.コレラ(一八三二年)
四十. 舞踏会(一八三三年)
四十一.祖父の死(一八三四年)
四十二.イタリア旅行
四十三.ナポリ
四十四.ヴェスビオ
四十五.マルセイユ
四十六.ドワイヤネ小路
四十七.「演劇界」(一八三五年)
四十八.乱痴気騒ぎ
四十九.シダリーズ
五十. 破綻(一八三六年)
五十一.ベルギー旅行
五十二.再出発
五十三.『ピキヨ』(一八三七年)
五十四.ドイツへ(一八三八年)
五十五.バーデンバーデン
五十六.フランクフルト
五十七.アレクサンドル・ヴェイユ
五十八.亡命者の村
五十九.発覚
六十. 『レオ・ビュルカール』
六十一.共作者
六十二.ウィーンへ
六十三.ラウール・スピファム
六十四.スイス(一八三九年)
六十五.ドイツ、バヴァリア
六十六.ウィーン
六十七.グリルパルツァー
六十八.大使館
六十九.ウィーンの恋、ローザ
七十. 夜会
七十一.アルバイト
七十二.マリー
七十三.大晦日
七十四.ベッドの中の年明け(一八四〇年)
七十五.帰る
七十六.借金
七十七.ハイネ
七十八.不運の連鎖
七十九.ベルギーミッション
八十. 冬のベルギー
八十一.アントヴェルペン
八十二.三人の美女
八十三.交霊術
八十四.現実生活への夢の侵入(パリ一八四一年)
八十五.ジェラール
八十六.病院
八十七.ジャナンの記事
八十八.ブランシュ医師
八十九.退院

小説
2023/05/25発行
A5判 上製 カバー付

3,300円(税込)