作品詳細

詩については、人は沈黙しなければならない

詩については、人は沈黙しなければならない

髙塚謙太郎

詩とは何か。

七月堂50周年記念企画第一弾!



詩集『』でH氏賞を受賞した髙塚謙太郎が、矛盾もひっくるめて真っ向から思考した記録。


2020年12月から2021年9月の間にnoteに連載し、また他の場所で発表したものをベースに書下ろしを収録。


noteに連載する際、ご自身で作ったルールは以下になります。

①出来るだけ週に1つ以上追加する。
②ナンバリングするが、連続性、関連性を意識しない。
③思いつきで書き、書いたものは1週間以上寝かせない。


本編の編集後、さまざまなわけがあってできた時間のなか、栞文を書下ろしていただきました。



 真新しいシャツに袖をとおすような朝にかぎって、雨は陰って軒下までぷつぷつとちぎれていく。でも、それで静かさというものがたっぷりと担保されるのなら、私はこなごなに散ったガラス片として、すべてを見とおせるのではないか。ネクタイを巻く。上着はタンスの横でハンガーにかかったままで。
 パックのカフェオレをさらに牛乳で割って飲むのが好きだ。チョコマシュマロやシュークリームをそえて晴れ間にテレビをつけて過ごす。神がかっている。自室に戻ると、買った憶えのない本がいくらもあって、残りのメモリーを思うと暗澹たる気分にも逸れていくが、そこを豊かと言って、さて私に書くという意味をつきつけてくる。つきつけてくるが、ただそれだけで、私は午睡へと沈んでいく。

─『詩については、人は沈黙しなければならない』栞文より抜粋



詩を書くということとは。
詩を読むということとは。
ことばとは。


本文はもちろんのこと、ぜひ栞にも注目していただきたい一冊となりました。





『カメリアジャポニカ』(思潮社)が中原中也賞最終候補・鮎川信夫賞最終候補。
『ハポン絹莢』(思潮社)が中原中也賞最終候補 。
』(七月堂)第70回H氏賞受賞。

詩論
2023/06/09発行
A5変形 並製 カバー 帯 栞付

1,870円(税込)