作品詳細

光の吐瀉物、祈りに春を

光の吐瀉物、祈りに春を

黒田夜雨

君は明後日も健康で
孤独など知らずに死ねばいい。

「ソラニン」


春になったら頭にソラニンが生えてしまいます。
春の阿佐ヶ谷は楽しくなった頭の弱い人でいっぱいです。
私も楽しいけれど楽しくなればなるほど
あなた方とはさよならだから、すこしさみしい気もします。
思い出の私はいつも一人、
あなた方を放ったらかして愉快でしたね。
野放しであることが嬉しくて、
菜の花は庭に一面もう食べられないくらい咲いているけど、
私は元気です。
あなたがいなくても、
元気なのです。
春になったら頭にソラニンが生えてしまいます。
じゃがいもの頭に芽が生えて、
その芽が頭を食い潰してしまうのです。
私はいま、とても楽しいです。
でも、どうしようもなく
ひとりぼっちなのだと思います。




詩集
2023/04/16発行
150x150 並製 カバー付

1,760円(税込)