作品詳細

EXPLOSION

インカレポエトリ叢書 17

EXPLOSION

真夏あむ

余命とは、この夢が覚めるまでの数年のこと。//きみの声で起こして。

夕方アンチ

リストカットしたところから、ぷつぷつと天使が溢れて飛んでいく。
うさぎのしっぽみたいなつまさき。
桃色につやめくきみのゆびさき。
不特定多数に不安定ないいねをもらってないと心がすかすかでおかしいや、ぼくを救える人間がこの世にぼくしかいないことなんて、中学校を卒業するより前にわかっていたことなのに。
簡単な言語で挨拶をして、最初の掴みはこれでOK、あとは脳をじゃぶじゃぶと洗うだけ。
ぼくの脳汁に漬けて染めるから、逃げ出さないか見張っておいてね。
ひとつのふきだしのなかで何についての会話かわかんなくなってきたが2回くらいあって、彼はこれを転調と呼んでいて、だからすきだったな。
ぼくの目の奥みたいな色をペンキにして漬けたみたいな色のマスカラを睫毛にべちゃべちゃと塗りたくって、焦げかけのトーストをかじる早朝。
夜が朝になる瞬間がすきで、夜更かしがやめられない。
カーテンの隙間から見える太陽光がやわらかいのは、きっと朝日には天使が混じっているからだって本気で思っている。死にたくならない。

夕方は死にたくなっちゃっていけないね。
オレンジは眠くなるし、すっぱすぎる。

甘くてとろとろしたものしか愛せないから、夜明けの空港がすき、朝方のカーテンの隙間から手を振る光がすき、あの子の抜けた歯の隙間から見える宇宙の堕とし穴がすき。
春はあったかいから、頭がおかしくなった人が増えるらしい。ぼくもその一員かもと言って笑っても、笑わないで、それでも否定も肯定もしないでね。
きみに都合のいい電波数を毎秒選んで、毎秒違うチャンネル見せて。きみは朝方のテレビ。雪解けみたいな、透明に侵食された窓。産後1秒の太陽を捕まえろ、生活リズムの鍵を握ってしまう強めの魂で、弱っちい自律神経なんかをぶっ潰したい。





インカレポエトリ


詩集
2022/11/25発行
四六判 並製 小口折

990円(税込)