作品詳細

バビロン詩編

バビロン詩編

天童大人

バビロンの友よ! この日、日本から賛美を送る!

聲の詩人、天童大人の詩集である。
自由奔放な聲は世界の友へ語りかける。
成田空港からトルコへ。
エネルギーに満ちた旅人たちよ。
イスタンブール空港から防弾ガラスと鉛板で補強された車で向かうのはどこなのだろう。
多くの検問を通過し荒れた平原を抜け、どこへ行くのだろう……



紹介作品

前略

昨年 招待されたコロンビアの詩人が
この草木も生えていない荒れた大地にカメラ
を向けただけで警察に三時間拘束されたとか
このなにも無い場所に何が隠されているのか

イラク! この国の大地は悲しみに満ちていて
風景を眺めているだけで感傷的になるのは初めて


イラク戦争開戦の夜
大量の爆弾が炸裂し緑色の閃光
がテレビ画面の中に映し出され
バグダッド国際空港付近が空爆されています!
とテレビのアナウンサーの悲鳴に似た聲

この荒涼とした大地に期限切れ間近の大量の爆弾
を消費してアメリカの軍産体制を維持し 国を破壊し
独裁者を葬り去り 石油を略奪するための戦争に
イラクの無辜の民たちはどれだけ無為な命を失ったのか

車はバグダッド市内に入らず一時間余りでバビロン到着
右手に見えるイシュタール門
は紀元前五百七十五年ネブカドネザル二世
によって建設された建造物のレプリカ
本物はドイツ・ベルリンのペルガモン博物館に

近くの粗末な検問所を通過して着いた
建物はフセイン元大統領の夏の避暑用の建物
バビロンハウスの入り口で
若い警備兵から鍵を受けとり内に入った

一階はテレビでもみたフセイン元大統領の会見場
二階の回廊に四室 その一室を与えられ荷物を置いた

タイル張りの浴室はシャワーと水洗トイレだけ
部屋のベッドに身を置くと変な沈み
マットを持ち上げると床板に大きな穴
本当にこれが贅を尽くしたフセインの来客用の客室なのか

後略

詩集
2020/11/11発行
A5判変形 並製

1,980円(税込)