作品詳細

雨の日のあたたかい音楽

雨の日のあたたかい音楽

金澤一志

言語芸術への挑戦

次々と変奏されてゆく言葉たちは
意味を離れ、音の粒として
私たちに降り注ぐ。




複製の複製による複製の擁護



〈夢〉という字を一切使わないとルールを決めてみたが、無理だった。それは、


〈足の裏は、死者がみせる最後の表情である〉というもっともらしい言い回しを読んで、ちがうと思った。なぜなら、





ピポー叢書の夢

                     妻つマづく




あれたうみあふれたかわありふれたいけあかるいいりえあれはあわれなみかづきこあちらは沸騰するカルデラこ

プラダをしおかぜにあてたくないといいながらすなはまでつまつまづくかいのかけらがてのひらをらせんに裂く

なぎのなぎさにきなさいちいさなさなぎになるとききなさいシンケルの流星雨そそぐよるしょくそうからはなれ




                    ピポー叢書の夢





            ちいさなうすい足の爪コーカ
サスあたりならこんな女性がたくさんいるのかとおもっ
た行ったこともないくせに
                                         
四月のものを三月にわたすに
は去年準備しなければならない中世の音をひびかせる雨
樋の銅の匂いが好きでした

            あと二週間と耳にして考えた
ことを参考のために聞かせてほしい狩猟と養蜂と涸れた
川があなたの国のすべてだ

                                         黒々と印刷された鎌の図形が
                超高速回転千のくるぶしをなぎ払ってプラタナスでよう
                やく停まるピポー叢書の夢




                    あたたかいスイカ




はとらすずめらつばめらおながらひばりらからすらながらく屍骸をみないからどこで死ぬのかしら不死鳥かしら





後悔のあじのあたたかいスイカのスープJU年まえにやりすごしたJO念のいろほどにあく魔で赤いあわのつぶ

詩集
2022/11/22発行
A5判変形(100x190) 小口折 並製

1,300円(税込)