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隣にいる
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隣にいる

飯塚裕介

なにも感じないのがこわいのよ
わたしにとっては。

習慣


ミモザの水を替えてから
ブラインドの白い棒を捻り
朝陽を入れたり遮ったりして
絶対に起こさない程度に
いたずらしてコーヒーを飲み干す。

突如脳内に溢れ出した
存在しない記憶だとか
考えてみるけど
タイムラインに流れてくる
あまりに綺麗な
景色たちの返信欄は
実在する場所の名前で
埋め尽くされている。

冷凍庫には
カチカチのベーグルが
雑に放り込まれて
寝息を立てているから
この機械は少しだけうるさくて
たまに不気味なことばを
夜に吐き出す。

忍び足で
トイレを済ませ手を洗い
そのままコンタクトレンズを装着して
排水口に絡まった
髪の毛の黒いのを
人差し指と親指で
掴み取って捨てる。

こういう朝を迎えているのを
あなたは知っているのだろうか


詩集
2026/11/10発行
四六判 並製

2,090円(税込)