作品詳細

神歌(ティルル)とさえずり

神歌(ティルル)とさえずり

宮内喜美子

詩人は旅をする。島から島へ渡る。

ヤポネシアの中の琉球弧を旅する。
琉球弧の中の沖縄群島・久高島、奄美群島を行く。
島々で詩人は、風土や聖地と出会い、民俗や神歌と出会い、人々と出会った。
これらの異文化衝突の中から、個性あふれる詩が生まれた。
島幻想の彼方の傑作が生まれた。 ―高良 勉( 詩人)


時間が 時間を

この まっしろな
骨のような
珊瑚のかけらたちは
まるで骨のよう
ではなくて
ほんとうに
骨 なのだ

骨 そのもの

兵士の 自警団の
逃げまどった
おばあや乳飲み子
餓えや病で倒れた
自決させられた人びとの
祖霊の
無念の
骨を 踏んで

じゃり、じゃりっと
珊瑚の浜を わたしは歩く

無数の微生物が息づく
エメラルド色の水際を
わたしの足裏
わたしのかかと
うすい肉の内側の
形成され破壊されてゆく
生きている骨は
歩いていく

燠のように熱い
珊瑚虫の死骸の上を
じゃりっ
じゃりっと

わたしの時間が
わたしたちの時間を

時間が
時間を

踏んでいく

詩集
2020/01/18発行
A5判変形 並製 カバー付

装画:真久田正

1,760円(税込)