作品詳細

青(おう)の植物園

青(おう)の植物園

橋本由紀子

幻想植物コラージュ

著者による押し花コラージュ作品と写真に彩られた詩集。神話的な視点と独自の世界感が言葉・ビジュアル面から立ち上り、読者を幻想に誘う。

一途な地球ダンスの約束が/垣間見えて 夢見の時間が広がる/卵が孵らなくとも/幼子が途中でしんでも/時間の幻想散歩は先へ繋がる/唯一の遺伝子からの 果てしなき声
食物を共にし まぐわい/子孫を残すのだと 海鳴りのように/絶える事がない いとなみへの誘い/古来 男は 女の口元に/食物のように 言葉を重ねてきた/掻き抱くのは男の役目であった  が
愛を受け入れなかった/愛し返さなかった ただ/そのことのために/ギリシャの神話の中の女達は/変身の罰を受け 言葉を失う樹にされている/男は花に 女は樹木が多い
月桂樹にされた河の神の娘ダフネ/突然のアポロン神の告白に驚く娘ダフネには/最初に見た男を嫌いになるという/キューピッドの矢が娘の胸に刺さっている/という物語の仕掛けがあるが
女の口元を樹皮で覆うほど/いとおしい 憎悪 肉欲/愛し返さなかった罪/というのはあるのだろうか/愛し返せなかった罪
(「愛の罪」)

詩集
2017/12/20発行
B5横長変形 上製

2,200円(税込)