作品詳細

鳥類学フィールド・ノート

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鳥類学フィールド・ノート

小笠原鳥類

生き物たちの安全で安心な楽園はどこだ
みーんなこの地球の仲間たち
おはようございます

小笠原鳥類の入門書ともいえる一冊。
編集や装丁は、詩人の榎本櫻湖によるものです。
現代詩手帖やフリーペーパー、ブログなどに発表された詩に書き下ろしの作品を収録。


よいことがあると、いい。あの、ええ、
それが、とても、いい。
とても、穏やかに、うれしい、ことが、いい。
あの川に、いろいろな、種類の歌が
魚が(魚の図鑑は歌の図鑑だ)楽譜が……
泳いでいて、魚の背中が見える。
魚は透明なので、内臓も見えるだろう健康な。
健康な健康だ、
魚のウロコがあって、それらの
輪郭の線が黒くなって、見える。
黒い絵、というものが、あった。魚を描いたんだろう
魚の図鑑が、画集で、あって
版画、だった。版画の群れ。
─中略─
魚の、とても、光る、部分である。版画で描くなら
金色を少しだけ使うだろう。よいことが
光っているのが、よい。いい。
よいことがあると、いい。おそろしい未来が来ないのがよい。魚の
版画を集めた本を、ギギギギギーと開くと、
「明るい未来もある」と、書いてあった。
どうなんだろうなあ、よいことが、
あれば、とても、よい。いい。歌うだろう
それから魚を描くだろう、魚の
ウロコたちの線をたくさん描くだろう。
背中にウロコがたくさん描かれるだろう。背中を
濃い灰色で塗った。水彩で描いた。
とてもよいことになればよい。よいことが、
あれば、いい。おはようございます(「魚の歌」より)



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