作品詳細

カステーラのような明るい夜
在庫無し

カステーラのような明るい夜

尾形亀之助

月あかりの静かな夜る ―
私は
とぎれた夢の前に立ちどまっている

「この詩集を、未知の読者、未来の人びとに捧げます。」
 ──編者 西尾勝彦

尾形亀之助や天野忠に影響されて詩を書き始めたという、奈良在住の詩人西尾勝彦さんに編集していただき、尾形亀之助の新詩集を発行いたしました。

装画に、版画家でイラストレーターの保光敏将さんをお迎えし、装幀をクラフト・エヴィング商會さんにご担当いただき、これ以上なく素朴で贅沢な詩集の誕生です。

校正は航星舎の高松正樹さんがご担当くださり、本文はすべて原典をあたって、旧仮名遣いを新仮名遣いに改めました。

今なお、鮮やかにくり広げられる亀之助の詩を、どうぞご堪能ください。


「白い手」


うとうと と
眠りに落ちそうな
昼 ――

私のネクタイピンを
そっとぬこうとするのはどなたの手です

どうしたことかすっかり疲れてしまって
首があがらないほどです


レモンの汁を部屋にはじいて下さい





「無題詩」

から壜の中は
曇天のような陽気でいっぱいだ

ま昼の原を掘る男のあくびだ

昔 ――
空びんの中に祭りがあったのだ

詩集
2021/10/17発行
四六判変形 仮フランス装

装画:保光敏将/装幀:クラフト・エヴィング商會/校正:航星舎