七月堂通信

2016年09月の記事

七月堂通信特別編 大阪出張記4 ~最終日(ちょこっと)京都出張記~

 高塚・黒崎両詩人との葉ね文庫さんでの座談会を無事に終え、あとは東京に戻るのみなのだが、関西に行くなら京都の三月書房さんに寄ってほしいとボスに頼まれていたので京都へ向かう。

 昨日座談会の後、明日は三月書房さんというところに行くんですと話したところ、なんと葉ね文庫の池上さんが(勝手に)師匠と仰ぐ方だった。だったら悪い人なわけがないとは思っていたが、想像以上にナイスなお方だった。

 三月書房の店舗は京都市役所駅から5分程度。古めかしい、昔ながらの町の本屋という風情だが、置いてあるものは一味違う。詩歌が充実するのはもちろん、バーゲンブックという自由価格本が大量にある。これは残念ながら倒産してしまった出版社の本や何かと事情がある品も多いようだが、お客の立場からすると純粋に宝の山である。定価の半額は当たり前、ものによっては驚異の七割引き(!)である。
 ご挨拶し、ボスから謹呈してほしいと頼まれた本を渡し、お手を煩わせるのもあれなので早速本を物色させていただこうとしたところ、逆に色々とお話を聞かせてくださった。座談会の結果をフリーペーパーにするという話はしていないのに「フリーペーパーとかあると自費出版のお客さんが来やすいからいいと思う」と資料として次から次へフリーペーパーをくださったのには感動した。あげく「葉ね文庫さんがこれは売れるって言ってるからなぁ」と『sound&color』を注文してくださった。なんて良い本屋さんなんだ! その感想も手伝ってついつい重い本をどかどか買ってしまった。

 さて、これでついに完全に仕事を終えた。あと京都に滞在できるリミットは3時間。これまた昨日、お寺が好きなら東寺か三十三間堂は行ったほうがいい、と高塚さんに教えてもらい、特に三十三間堂は「笑えてくる」ということなので是非行きたいと思う。のだが、今回、実は自分の中で行かねばならない場所があった。“それ”が実は今回の企画の影の推進力だったのだ。

 ずばり件の三十三間堂の目の前、京都国立博物館に“それ”はあるらしい。もったいぶらずに言うと“それ”は不動明王像である。

 そもそも、GWに奈良に行った際、リニューアルオープンした奈良国立博物館の仏像館で出会った降三世明王像という巨大な密教仏に激ハマりしてしまったわたくしは、それが大阪の金剛寺というお寺の本堂にある三像の一体と突き止めたのだ!(解説を読んだだけ)他の像も是非見たい! と興奮気味にいかにもバイトっぽいにわか学芸員のおばちゃんに他の像の行方を尋ねたところ不動明王像は(多分)京都という答えだったのだ。

 (多分)京都・・・京都めっちゃ行きたいやんけ! というところに高塚さんからの

可能なら面と向かって対談できればいいのですが、
黒崎さんは関東の方でしょうか?

というメールだったものだから、行きたい気持ちが倍増したのです! 関係者各位! すいません! 今回の出張は仏像目当てでした!

 で、その不動明王像、確かにあった! これだこれだ! 間違いない! うわーすげえって思っていたらその横に不動明王像なんかより遙かに大きい、金剛寺のご本尊である大日如来像がおわした。本尊が博物館におわす状況はお初だったのでさすがに驚いた。(これらの像はお寺が改修工事中なので博物館が保護しているそうです。)

 まあ、理由はともかく実際こうやって出張させてもらえて、座談会も無事開催できて、こうやって実際不動明王さま及びおわすとは夢にも思わなかった大日如来さまにお目にかかれて嬉しいことこの上ない。そういえば今年のおみくじに「趣味が仕事につながる」的なことが書いてあったのを今思い出した。とにかく自分が行くとこのおみくじはよく当たるのだ。

 というわけで七月堂の大阪及び京都出張記でした。果たして出張記3があるのか。二度あることは三度あると信じて、座談会の録音を聞きながらニヤニヤしたりしている東海道新幹線の中からお別れです。
 
 それではまた出張記でお会いしましょう!

七月堂の大阪出張記 完

No.0053 2016年09月07日 O