七月堂通信

2016年06月の記事

奈良旅行記

 GWは奈良に行ってきた。
 
 という書き出しで仏像を訪ね歩いた三泊四日の旅について書き出したのだが、一日目の最初の寺の話を書いた段階で普段の七月堂通信三本分ぐらいになってしまった!このまま最終日まで書いたらどえらい分量になりそうだ。さすがに七月堂の通信でそれをやったら乗っ取りにも程があるだろうということで自粛し、奈良旅行中の夜の楽しみであった古本屋巡りについて書くことにしよう。

 奈良旅行の一番のイベントはやはりお寺を巡ることだ。
 お寺の朝は早い。夜も早い。夕方五時に終了が基本だと思って間違いないだろう。
 必然的に行動は朝早くから夕方にかけてになる。

 そう書くと健康的かつ仏に癒される旅・・・を想像されるかもしれないが、ところがどっこい、なかなかにハードなのである。

 世界遺産・国宝・重要文化財、そうでなくても超一級のものに溢れかえる奈良は、まさに宝の山であり、とても嬉しい!最高!興奮もマックス!なのだが、あまりにも大物(仏像)のオンパレードなのでそれと真剣に(さらに連続して)向き合うと精神と肉体の消耗が著しく激しいのだ!
 普段東京で見れたら「おお、すげえ!」なんて中ボス級の仏像はざら。東京では特別展でお呼びするクラス(ボス級)の仏像もざら。あげくの果てはラスボス級のお方まで普通におわすのが奈良の凄さである!ってなことを書いていたら分量が大幅にオーバーして大変なことになってきたので自粛するが、これだけは言っておきたい。とにかく奈良は凄い!!
 
 で、何が言いたかったかというと夜までには完全に抜け殻、へとへと状態になるのである。そこで癒しスポットとして古本屋さんがあるわけだ。(断定)

 ラスボスがぽんぽん現れることでラストダンジョンかと思われている奈良だが、実際は観光地なので夜は早い。簡単に言うと夜の娯楽は無いに等しいのである。といっても自分は酒も飲まぬし、クラブに繰り出したいわけでもお姉ちゃん達と遊びたいというわけでもないので(本当だ!信じてくれ!)大して困りはしないのだが、それにしてもあっさりとしたものである。
 まあこの平和さとのんびりとした雰囲気は最高なのだが、もう一声ほしい!と思った時に気付いたのだな、古本屋の存在と、それが結構遅くまで営業していることに。(まあそれでも夜九時までなのだが)

 近鉄奈良駅周辺には思いの外古本屋が存在していた。前回の旅で全く気付いていなかった自分もどうかしているのだが、やはり七月堂が古書部を始めたことによって「よその店が気になってしょうがない症候群」になったというのも影響しているのだろう。

 今回の旅ではホテルが近かったというのもあり「餅飯殿(もちいどの)センター街」にお世話になった。というか餅飯殿センター街が気に入りすぎてしまって「我が心のセンター街」として認定したぐらいだ。「我が心の国際通り」として認定されている那覇の国際通りと同じく、なんというか平和である。平和で静かで、地元愛とちょっとエッジの効いたお土産が売ってたりして飽きないのだ。ビバ奈良!ビバもちいどの!である。

そんな中に四軒ほど古本屋さんを見つけた。

 やはり奈良なので仏教系の本が多い。もろに図書館からの払い下げ品を売っているお店もあって、なんだか心温まったりもした。

 入り口の「釣り」で置いてある激安本に思い切り釣られて連日通ったのが「小さな本から大きな夢を」のキャッチコピーが熱い「フジケイ堂」さん。手書きのイラストで作られたポップが優しい印象。非常にアットホームな雰囲気だ。そしてBGMもウクレレで弾き語るジブリ的なやつで癒された。旅行中は感受性が豊かなのでちょっとした事ですぐグッときてしまう。

 店内はジャンル問わず内容充実。値段も手頃。ここ最近「読み終わって手放してもいいやと思ったら七月堂にあげちゃえばいい」という吹っ切れたメンタルになってしまったので旅先なのに結構買ってしまった。たくさん買っても郵送すればいいということを忘れて遠慮してしまったので、次回はもっとガンガン買ってやるわい!

 奈良で手に入れた古本の中でお気に入りなのが現在の愛読書『やさしい仏像教室』(高橋秀夫著 全国会計職員協会)。仏像の解説書なのに「全国会計職員協会」というところが発行しているのも何だか渋い。同じ著者、発行元のインドの神像を巡る本もどうやらあるらしく非常に気になる。

 そんな本をこれまた餅飯殿センター街にある「朱鳥(あけみとり)」さんという手ぬぐい専門店で発見した「阿修羅バッグ」に入れて夜の興福寺へ。
 ライトアップされた五重塔を見つつ今日出逢った仏像に思いをはせる・・・てな旅でございました。

No.0049 2016年06月21日 O